大野会計コラム

借入金の返済期間は長い方がいいのか?短い方がいいのか?

2017.09.25

不動産オーナーの方

収益物件の購入予定のお客様から、
「借入金の返済期間は長い方がいいのか?短い方がいいのか?」とよく質問されますが、私はいつも「できるだけ返済期間は長い方がいいですよ」と答えています。
そして、「一般的に変動金利を選択し、毎月の返済額を少なくして、将来余剰資金ができたら繰上げ返済してください」と言っています。

まず「できるだけ返済期間が長い方がいい」と言っている理由は、収益物件の購入資金を借り入れした場合、返済期間10年以下ならほとんどの場合、「毎月の家賃収入額<毎月の借入金返済額」となり、その物件だけでは資金ショートし、毎月の返済ができなくなるからです。
返済期間を15年に延ばしても厳しいと思います。
特に中古の収益物件を購入した場合などは、通常、借入金の返済期間は、法定耐用年数の残存期間が最長となり、新築時より短くなります。
ましてや、鉄筋と比べ法定耐用年数の短い鉄骨や木造アパートなどは、借入金を短い期間しか借入れできないため毎月の返済額が多いにもかかわらず、建物全体の評価額は低く、計上できる減価償却費は少額となります。
「建物附属設備」の法定耐用年数も中古ではほとんどなく(簡易計算では15年経過しておれば15年×0.2=3年となります)3年経過すれば、本体の「建物」だけとなり、毎年の減価償却費<年借入金返済額となり、「所得税の計算では黒字で多額の税金がかかってくるのに手元にお金がない」といった困った状況に陥ります。

たとえ新築であっても建築後15年経過すれば同様の状況になることがあります。
これらの状況は、借入金の返済期間が短すぎることにより、毎月の返済額が毎月の家賃収入を上回ることによる資金ショートです。

このような厳しい状況になることを避けるため、できるだけ返済期間を長期間にし、毎月の返済額をできる限り低く抑えることが重要になります。

次に、なぜ「変動金利」で借入れを勧めるのかといえば、固定金利を選択している状態で借入金の繰上げ返済をすれば、銀行によっては「ペナルティー」(違約金)を請求されることがあるためです。
事前に違約金の有無を確認し、違約金の請求がないのであれば、固定金利で借り入れされても大丈夫でしょう。