大野会計コラム

満室経営をめざして

2019.01.14

不動産オーナーの方

 

はじめに

私が、マンション経営に携わってから30数年となります。
両親が酒店経営のかたわら昭和の時代から始めたアパート経営がルーツで、小さなアパートを5階建てのマンションに建て替えた頃からです。
多いときは4棟経営していました。
40年の間にマンション建設、阪神淡路大震災での被災、借入や修繕工事、裁判、不採算マンションの売却…いろいろなことがありましたが、何事も両親や妻と相談しながらひとつひとつクリアしてきました。

これまでの経験で言えるのは、賃貸マンション経営というのは「副業」ではなく「本業」と同じく丁寧に向き合い、愛情をかけ、常に勉強を怠らない努力が必要であるということです。

目標とするのは「満室経営」です。

具体的にはどうすればいいのか、いくつかあげたいと思います。

 

空室対策

 

① 退去後のリフォーム

長い期間住まわれた後であれば、思い切ったリフォームを行います。
クロス、床材の張替えはもちろん、キッチンの扉やドア等にダイノックシートを貼ると新品同様になります。
クロスはその部屋の1面だけ違うものにすると「ちょっとおしゃれ」な感じになると思います。
リビングの1面を薄いブラウンにしたり、洗面室の1面にシックな花柄または上品な色の無地を、トイレ奥には木目を、というように1面だけ遊びを取り入れます。
ただしやりすぎに注意してくださいね。

また、水周りに注目してパッキンを取り換える、水栓を取り換える、洗面台を取り換える、等。
特に洗面台の交換は女性に効果があります。
今、機能性が高くデザインも良いものが意外と安く買えます。
収納が引き出し式など、「自分が使うならうれしい」機能のものをしっかり選択すること。
鏡には照明もつけましょう。

 

ワンルームであれば、メインの部屋の照明器具をおしゃれなもの(インターネットで簡単に探せます)にして全体をイメージアップするのもいいと思います。
「照明器具なし」のままで募集すると、夜に内覧に来られた場合暗くて困りますし、天井にくっついたシーリングライトよりもグッと素敵な印象です。
その際LED電球でも蛍光灯でも、照明の色はリラックス感のある「電球色」がいいと思います。

忘れがちなのが、スイッチプレートや収納の取っ手等です。
クロスを新しくしたときには必ずスイッチプレートやコンセントプレートも新品に。
収納の取っ手もホームセンターに行けば1個単位でいろいろ売っています。
古いままにしないように気をつけましょう。

重要ことは、「その部屋にどんな方に住んでもらいたいか」ということを考えて、そのターゲット層に訴えるお部屋にすることです。

若い方には最近は「北欧風」がキーワードです。女性なら白っぽい木目調をベースに、明るく爽やかに、男性ならシンプルモダンで、アクセントは黒かこげ茶…という風にインテリア雑誌等で研究しながら決めていくと楽しいと思います。

 

② 募集

募集をお願いしたい仲介業者さんに間取り図やリフォーム後の写真等を持ってごあいさつに行きます。

一昔前はあちこち業者さんを回ったものですが、今は借主様がインターネットでお部屋を選ぶ時代です。しっかりした業者さんに「SUUMO」や「HOME’S」に掲載してください、とお願いしておけば大丈夫です。

 

なお、インターネット検索は借主様にとっては非常に便利なツールなのですが、「築年数が20年以上」、「駅から遠い」など、オーナーの努力ではどうしようもない理由で、簡単に検索条件からはずされてしまうことを認識しておかなければなりません。

お家賃を相場より安く設定するのも一つの方法ですが、お部屋そのものの魅力を高めて、まずは「すごくいいお部屋ですね!これならお勧めしやすいです!」と業者さんに褒めてもらえるようしておくこと、そして自ら足を運んでお部屋をPRすることが大切だと思います。「業者さんに対して営業する」ということです。

実績を積むと、他のマンションの物件概要を印刷してお店に持って来られる方に、「少し古い(駅から遠い)のですが、この物件もお勧めですよ。」と言ってもらえるようになります。

 

内覧に来られた方と業者さんのために、玄関にきれいなスリッパを用意しておきます。

また部屋の詳しい寸法入りの間取り図と、コンセントやテレビ端子の位置や数を記入したチラシを置いておいて持ち帰ってもらうと、後で検討していただく際に便利です。

もちろんきれいに撮影したお部屋の写真も一緒に載せておきます。

 

③ 入居が決まったら

入居日までにプレゼント(有名ブランドの香りのいいハンドソープなど)を用意してお部屋に置いておきます。

「この度はご入居いただきありがとうございます。」などといったメッセージカードも忘れずに。

 

満室維持対策

① 共用部分の清掃は、週一回行いましょう。

「いつもきれい」な状態が入居者の方からの信頼となります。

② マンションの入り口付近など、わずかなスペースにでも花壇を作りお花を植えましょう。

季節の花が咲いていると、入居者の方からも通行人の方からもとても喜ばれます。

③ 定期的に共用部分や各お部屋のバージョンアップをはかりましょう。

宅配ボックス、IHヒーター、ウォシュレット、モニター付きインターフォン、廊下・階段の照明器具…など

空いた部屋にだけするのではなく、借主様全員に喜んでもらえるようにすることで、そこに住まう安心感を得てもらいます。

④ 火災警報器等の設置、消火器の中身交換、排水管清掃などは怠らないようにしましょう。

なお、日頃の管理でマンションの価値を高めて、「いつも満室」の状態にしておくことは、いざ売却することになった場合に大きな「強味」となります。

売却の際、ここ数年間の「家賃入金状況表」を提出することがあり、空室の期間が多いと印象がよくありません。
法令遵守(防火管理等)についてもきちんと行われているか、チェックされます。
どちらも一朝一夕ではできませんので、しっかりした経営指針が必要です。

 

マンション経営は、ずっと所有し続ける場合も、途中で売却する場合も「いつも満室」を目標に努力して利益を得る仕事です。決して楽な商売ではありません。
マンション経営の成功のカギを握るのは、「立地」と「管理」です。
その二つがうまく噛み合えば強い「資産」になると思います。