大野会計コラム

あなたの固定資産税、適正ですか?

2017.04.18

不動産オーナーの方

固定資産税は、自治体が計算した税額を納税者に通知し、納税者は納付書に書かれたとおりに納めるという「賦課課税方式」を採っています。
申告納税方式である法人税や所得税と異なり、納税者が積極的にその内容を吟味することはまずありませんし、税務のプロフェッショナルである税理士も、税額の妥当性を調べるということはこれまで行ってきませんでした。

こうした中、2014年に埼玉県で発覚した夫婦から27年間にわたって本来の2倍超の固定資産税を徴収した結果、税金の滞納によって自宅を差し押さえられた事件は全国に大きな波紋を広げました。

その後も続々と徴収ミスが判明することとなり、自治体への不信感が高まってきています。
ミスが発覚した自治体では、本来なら定期的に行うべき実地調査を全く行っていなかったり、課税台帳への入力ミスや担当者の異動時の引継ぎがほとんど行われていなかったりと、税務行政のお粗末さを露呈しました。


▲自分が納めている固定資産税が
適正であるという保証はありません。

実は、私自身も10年ほど前でしたが自宅を新築した際、固定資産税の計算ミスを指摘したことがあります。
家を新築後、初めての納付書が送られてきたのですが、職業柄何気なく計算をして確かめたところ、どうもおかしい。
市に問い合わせると、やはり「間違っていました。申し訳ありません。」との回答でした。
危うく高い税金を長年に渡って払わされるところでした。
もしかしたらこういうことは、意外と身近に多くあるのではないか、とゾッとしました。

固定資産税というのは、その不動産を所有している限り何年も何十年も支払い続けるものですから、納税者は主体性をもって固定資産税の適正性に意識を向けることが大切です。

顧問先様 実例
賃貸マンション数棟を経営されるK様の、S市にお持ちの土地1,922㎡の相続税評価額を計算していたところ、固定資産税評価額の方が評価額が高いことに気が付きました。
一般的には相続税評価額の方が固定資産税評価額より高いので、S市に誤りがないか確認したところ、土地の減額補正(不整形地や騒音等)が全く考慮されていなかったことが判明しました。
地方税法では遡って還付される金額は5年間分のみですが、今回は当時の市職員のミスを認めてもらい20年間遡って、還付加算金も含めて約900万円の返金を受けていただくことができました。