大野会計コラム

インボイス制度で変わった「土地建物一括譲渡」の消費税ルール

2026.10.01

不動産オーナーの方

税制改正について

「急な話なのですが、サニーハイツ〇〇が売れることになりました!」

収益不動産を多くお持ちのN様から、そんなお電話をいただきました。

「よかったですね!」

「はい、明日契約なんです。契約書には土地と建物の金額按分をあえて明記しない方が、税金面で有利ですよね?不動産業者さんにもそうお願いしてあります。」

「えっ、ちょっと待ってください!」

 

以前はそれでよかったのですが、今は事情が異なります。

令和5年10月の消費税法改正でインボイス制度が始まって以来、取り扱いが変わったのです。

 

N様はインボイス発行事業者です。ですから税務上は、必ず土地と建物の按分計算を行い、建物にかかる消費税額を明示したインボイスを買主に交付しなければなりません。

按分計算をしないまま総額のみで契約すると、買主側が独自に建物部分の消費税額を計算することになります。そうなると双方の申告内容に不整合が生じ、税務調査で問題となりやすいのです。

契約締結前に、売主・買主双方で按分方法と按分結果をすり合わせ、契約書に明記しておくことが、双方の税務リスクを軽減する何よりの対策です。

 

大急ぎで土地と建物の按分計算を行い、建物部分の消費税額を算出。

N様から不動産業者さんへ契約書の修正を依頼していただき、契約当日になんとか間に合いました。

 

「次からは、念のため事前にご相談しますね」と反省しきりのN様でした。

今回はインボイスの話でしたが、そもそも売却価格をどう決めるかという段階でも、不動産業者に相談する前に、信頼できる不動産鑑定士に適正な時価を確認しておくという方法もありますよ、とお伝えしました。