大野会計コラム
「タワマン5割、所有者不在」
2026.07.27
不動産オーナーの方
相続についてお悩みの方
タワーマンションの住民票と実居住地の乖離についての2026年7月27付の日本経済新聞の記事、興味深いトピックです。この記事は、東京・大阪都心のタワマン約300棟の最上階を調べたところ、所有者の約5割が住所をタワマン所在地に移さず別の場所に登記していたという内容です。
そもそもタワマンの購入者は、どういう人たちなのでしょうか?
大きく4つのタイプに分けられます。
■相続税対策目的の富裕層
いわゆる「タワマン節税」です。タワマンは市場価格に比べて相続税評価額が低くなりやすい(高層階ほど乖離が大きい)ため、実際に住むかどうかより「資産の圧縮・移転手段」として保有する国内富裕層が一定数います。最上階など高額住戸ほどこの傾向が強いとされます。
■純投資・資産運用目的の投資家
賃貸に出して家賃収入を得たり、値上がり益を狙って転売したりする国内外の投資家です。富裕層が購入した物件を、賃貸運用が面倒だという理由で空室のまま保有するケースもあり、彼らにとって管理費は年間数百万円かかっても大きな出費という感覚ではないとも言われています。
■中国人をはじめとする海外富裕層
近年目立つのがこの層です。中国国内の景気減速や資本規制強化を受け、資産移動や海外移住を視野に日本の不動産を割安と見て投資先に選ぶ動きが強まっています。タワーマンションは都心一等地の高級物件として、ステータスシンボルとしての価値と実用性を兼ね備え、特に眺望の良い高層階がプレミアム価格でも積極的に購入される傾向があります。ただし実需としての利用(セカンドハウス、子どもの教育拠点)の場合もあれば、完全な投機目的の場合もあります。なお、この中国人投資家による購入動向については、税制改正の影響で近年ピークを過ぎ、タワマンから一棟マンションや戸建てへ関心が移っているとの指摘もあり、市場は流動的に変化している段階のようです。
■実際に住む「パワーカップル」層
一方で、共働き高所得世帯が実需として購入するケースも根強くあります。ただ最近は、タイムパフォーマンスを重視するパワーカップルなどのアッパーミドル層が、「高く・狭く」なったタワマンから2億円クラスの建売戸建てに流れる「卒タワマン」という動きも出てきており、実需層の一部はむしろタワマンから離れつつあるとも報じられています。
まとめると… タワマン、特に高額な最上階クラスの住戸は「そこに住む人」より「資産として持つ人」の比率が高まっている、というのが記事の指摘するポイントです。国内の節税・投資目的の保有と、海外(特に中国)マネーの流入が重なり、住所実態と登記のずれという形で表面化している、と理解すると分かりやすいと思います。
ただ、相続税対策目的の富裕層に関してですが、これまで広く活用されてきた「タワマン節税」は「令和8年度税制改正」によりスキームの見直しが必要です。被相続人等が相続開始前5年以内に、対価を支払って取得したものについては、従来の路線価・固定資産税評価ではなく、取得価額を基準とした金額の80%で評価されること、現金で不動産を購入し評価額を圧縮する「駆け込み対策」は、今後ほぼ効果を失うことにご注意ください。
(施行は令和9年1月1日以後の相続・贈与から。経過措置の詳細は今後の通達を待つ必要があります。)
