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経費と認められない人間ドック
2023.05.17
会社経営者・個人事業主の方へ
税務調査について
先日、あるお客様(法人様)に税務調査がありました。
そのお客様は納税意識が高く、経理処理もきっちりしている法人様でしたので大きな問題点はなく、問題点として指摘されたのは1点のみでした。
指摘された問題点は人間ドックに関する会員権とその会費についてであり、いわゆる見解の相違の範疇のものでした。
税務署としてはその人間ドックに関する費用等は高額であり会社ではなく個人で負担すべきもので、人間ドックを受けた役員や従業員の給与であるとの指摘でした。
弊所が関与を開始してそれほど時間の経っていないお客様で、その人間ドックのプランには弊所が関与する前からご加入されていたため、お客様に改めてご加入された経緯を確認させていただきましたところ法人の経費で問題がないとの認識であった、とのことでした。
と言いますのも、その会員権を販売している会社の営業担当者より会社の経費として問題がないとの説明を受けており、従業員等の福利厚生になればと思い加入したとのことでした。
弊所から販売会社へ当該人間ドックに関する費用等ついて税務的にはどのような見解を持っているか確認したところ、お客様には給与に該当すると説明しているとのことでした。
つまり、販売会社としては税務上給与に該当すると認識しておきながら営業担当者は税務上問題ないと説明して販売していたとのことで、道義的に大変問題がある行為であり、当該販売会社ではそのような無理な販売がなされていたことを把握していたため、コンプライアンス委員会を立ち上げて再発防止に努めているとのことでした。
今回のケースのように販売する側が税務上問題ないと説明している場合でも、税務の専門家からすれば問題があるケースが存在します。
特に知名度がある業者や社会的に信頼されている業種の営業担当者が、その知名度や信頼をバックに税務的に問題があるにも関わらず、あたかも問題がないように説明して商品やサービス、節税スキームなどを提案しているケースが散見されます。
弊所ではお客様にそのような提案があった場合には、そのメリットとデメリットを税務の専門家として中立の立場でご説明し、その上でご検討していただくようにしております。
皆さまもそういった提案があった場合には、販売する側の説明を鵜呑みにせず、税務の専門家にご相談いただけましたら税務否認のリスクを避けられるかと思います。
今回はそのようなことの大切さを改めて認識させられるケースでした。