大野会計コラム
令和3年度税制改正「住宅ローン控除の特例措置の延長等」
2021.04.06
税制改正について
1.住宅ローン控除の特例措置の延長等
(1)改正の趣旨
① 新型コロナの影響により消費者において住宅取得環境に厳しさが増しています。
② 住宅投資を幅広い購買層に対して喚起する必要があります。
(2)制度の内容
種 類 | 主 な 要 件 |
借入金 | 住宅の取得で、償還期間が10年以上 |
床面積(注1) | 50㎡以上で床面積の1/2以上の部分が専ら自己の居住用 |
所得 | 合計所得金額3,000万円以下 |
入居 | 取得から6ヶ月以内に居住の用に供し、適用を受ける12月31日まで引き続き住んでいること。 |
一般住宅(注2) | 最大4,000万円×1%×10年=400万円、消費税10%およびコロナ特例の場合さらに年26.6万円×3年=最大79.8万円控除 |
認定長期優良住宅申請 | 最大5,000万円×1%×10年=500万円、消費税10%およびコロナ特例の場合さらに年33.3万円×3年=最大99.9万円控除 |
(注1)登記簿上の床面積、区分所有建物の場合は専有部分の床面積をいう。
(注2) 中古住宅の個人間売買などにより消費税が課税されていない場合は、年末残高限
度額は2,000万円(控除期間10年)となり、消費税率が8%の場合は年末残高限
度額は4,000万円(控除期間10年)となります。
(3)改正後のポイント
① 控除期間を13年間とする住宅ローンの延長(消費税10%課税物件のみ)
種 類 | 請負・売買契約時期 | 入居時期 |
新築 | 令和2.10.1~令和3.9.30 | 令和3.1.1~令和4.12.31 |
建売、中古、増改築 | 令和2.12.1~令和3.11.30 |
② 床面積要件の緩和(消費税10%課税物件のみ)
種 類 | 要 件 | |
床面積 | 40㎡以上50㎡未満 | 50㎡以上 |
所 得 | 合計所得金額1,000万円以下 | 合計所得金額3,000万円以下 |
③ 中古住宅の証明方法の拡充(令和4年1月1日以降の確定申告書提出分より)
納税者から不動産識別事項(13桁の不動産番号)等の提供を受けることで、税務署が今
後、法務省の登記情報連携システムにアクセスし、不動産の登記情報(床面積等)を入手
できるようになることから、登記事項証明書等以外の証明方法が認められるようになり
ます。
(4)令和4年度の税制改正の方向性(平成30年度会計検査院指摘事項)
住宅ローン控除の控除率(1%)を下回る借入金利で住宅ローンを借入れているケースが多
く、その場合、毎年の住宅ローン控除額が住宅ローンの支払利息額を上回っていること等の
指摘がなされている。
住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して
控除額を設定するなど、控除額や控除率の在り方を令和4年度の税制改正において見直す
ものとする。