大野会計コラム

令和2年度税制改正「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設」

2020.04.06

不動産オーナーの方

取引価額が低額の土地については、取引コスト等が相対的に高いことがネックになり取引が進まず、利活用されないまま所有されている場合があります。

そこで、こうした土地のうち一定のものに係る譲渡所得を対象に100万円の特別控除を設け、取引の活性化を通じ低未利用土地等の活用を促進し、地域の価値向上が支援されます。

低調な不動産取引の課題

地方都市を中心に全国的に空き地が増加している中、低調な不動産取引の課題として以下のことがあげられます。

① 土地等が想定よりも低い金額でしか売れない。

② 譲渡費用(仲介手数料、測量費、解体費等)の負担が重い。

③ 譲渡所得の税金の負担が重い。

適用要件

① 譲渡前において低未利用地等であったこと及び譲渡後において土地等の利用につ

いて、それぞれ市区町村長の確認がされたものであること。

② 土地等(建物等含む)の譲渡価額が500万円以下であること。

③ 所有期間が5年超であること。

④ その土地等が都市計画区域内にあること。

⑤ 親族等特別な関係者への譲渡に関する適用はできません。

⑥ 適用を受けようとする低未利用地等と一筆の土地等から分筆された土地等につい

て、前年又は前々年にこの制度の適用を受けていないこと。

適用時期

土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の施行日又は2020年7月1日のいずれか遅い日から適用されます。

 

長期譲渡所得金額から100万円を特別控除されることによる売主の税負担は、約20万円軽減されます。

低未利用土地等の売主の負担感を軽減することが、更なる所有者不明土地等の発生の予防並びに、低未利用土地等を適切に利用管理する意欲のある者へ譲渡されるインセンティブになるものと期待されます。