大野会計コラム

平成31年度税制改正「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例要件の見直し」

2019.08.13

相続についてお悩みの方

これまで、被相続人の居住用家屋及びその敷地の3,000万円特別控除の要件は次の通りでした。

① 昭和56年5月31日以前に建築された建物

② 区分所有建物登記がされた建物でないこと

③ 相続開始直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

④ 譲渡者は、被相続人居住用家屋及びその敷地等を相続等により取得したこと

⑤ 譲渡した被相続人居住用家屋は、現行の耐震基準に適合するものであること(耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価の写しの添付要)

⑥ 被相続人居住用家屋を全部取り壊した後にその敷地等を譲渡すること(上記⑤の要件は不要)

⑦ 相続開始のあった日から3年を経過する日の12月31日までに譲渡すること

⑧ 譲渡代金が1億円以下であること

⑨ 譲渡した被相続人居住用家屋及びその敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収容等の特別控除を受けていないこと

⑩ 親族や同族会社に譲渡したものでないこと

⑪ 譲渡した被相続人居住用家屋及びその敷地等(家屋取り壊し後も含む)について、相続開始から譲渡まで空き家で貸付けの用、事業の用又は居住の用に供していない

 

今回の改正では、老人ホームに入所されている方も適用されるよう、下記の要件が加わりました。(2019年4月1日以後の譲渡について)

 

① 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定を受け、かつ、相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していたこと

② 被相続人が老人ホーム等に入所した時から相続開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、貸付けの用、事業の用又はその者以外の者の居住の用に供していないこと

 

当てはまる方はそう多くないと思われますが、これらの要件を満たす場合、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例が適用されます。

適用期限は、4年延長され、2023年12月31日までとなります。